オマケ集。


「なにお前、
人が気持ちよく寝てんのに、ずっとそれ観察してたわけ?

趣味悪いねー。」

「そう?ちびっちゃい時の顔と変わってなかったよ。

途中で見飽きちゃった。」

悪びれもせずにそう言って立ち上がると、目線がだいぶ近くなる。


目が合いそうになって、

とっさに俺は眉をしかめた。



どんだけの間、黙って眺めてたんだよ。

・・・もったいない。


「よかったー、亮介は今のまんまだね。シュウ君みたいになってたらどうしようかと思った。」

ひとり言のようにつぶやきながら、

ぼんやりと窓の外に目を向ける。


俺をすり抜けてどこか遠くを見つめてばかりいる瞳は、

あの頃と同じで、どこまでも見渡せそうに透き通っている。


風に軽くなびく黒髪も、
制服からのぞく華奢な手足も、

何もかもが、

あの頃のままだった。


・・・ついでに学生服姿の今の俺もな。


何となくやさぐれた気分になり、
片膝を立てて机に腰掛けると、

ばさりと足元に本が落ちた。


図書室から持ってきた、文庫本。




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