星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
48.片想いのケリ(二)
恭司に名前を覚えてもらえることなく、過ごした高校の三年間を百合は思い出す。
屈託のない感じに惹かれたこと。
スポーツをしていても、ステージの上でギターを弾いていたときも、彼はいつも楽しげでいて、真剣な眼をしていて、迷いのない真っ直ぐさを感じさせていた。
困ったこともやりたいことも無かった自分にとって、恭司はキラキラと輝いているように見えた。
その恭司に夢中になることで、自分も一生懸命に生きているように思えたのだ。
だから、恭司が欲しかった。
自分も輝き続けるために。
それがいつの間にか、恭司を手に入れることだけに執着してしまって、行動していた。
恭司を輝かせるどころか、自分が彼に影を作らせていたかもしれないと気付いた。