星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
11.新たな自分の居場所
バイト先の近くにワンルームのアパートを借り、宇都宮での綾の生活が少しずつ形となってきた。
家具を買い揃える余裕はないが、居酒屋の従業員やバイト仲間から、中古のガラステーブルやベッドを譲り受けることが出来た。
食器などは100円ショップでシンプルなものを選んで買った。
「さぁてと――、始めますか」
声に出してそう言うと、綾はテーブルの上に白いスケッチブックと鉛筆を出し、目を閉じる。
堀川大輔からの注文は、『あるモノをその対極のモノで包み込むイメージの絵』だった。
そのあるモノに関しての指定は一切ない。
後は綾の持つ感性に任せてくれる、と言う。