星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY

16.開かれる道



居酒屋『どんぐり』での大輔との時間は、綾にとってとても貴重なものとなった。

大輔との話し合いで今回のCDには、円と正方形を使って、円の中に女性のバックシルエットを淡い色で描くことに決まった。

時折、大輔が綾の顔をじっと見ては、何かを言い出そうとしていたように見えた。

それが何を意味しているのか綾には分からなかったが、彼からは嫌な印象は受けなかった。

最後に大輔は二枚の絵を手に取り、綾に言った。


「この大地と根雪のと、ギターと女性の絵のデザイン、ちょっと俺に貸しててくれるかな? これから曲が書けそうなんだ。いいかな?」


この言葉に綾は、自分の描いたものから新しい何かが生まれる期待に胸を膨らませた。

そういう可能性が自分の感性から導き出せるのなら、それ以上に嬉しいことはないのではないか。

綾は快諾し、その二枚を大輔に預けた。





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