星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
「恭くんにとっても、おやじさんは親しくしていた人だから、自分の仕事も忙しいだろうに、手伝ってくれているの。悪いわね、あなたとの時間を取っちゃっているみたいで」
「そういう事情なら、仕方ないです」
「でも――」
静が百合の顔を覗き込むように視線を向けた。
「あなたと特別な付き合いだとは聞いたことがないから、そんな遠慮をする必要はないのかな」
百合が何も言い返せずに静の顔を見ると、彼女はふっと表情を緩め、微笑んでいた。
「あ、恭くんの車が来たわよ」
こういうところが嫌味でもあり、敵わない相手だと百合は実感していた。