んな口約束より確固たるモノを
逃げていくアヤとやらに尾行を付ける気力も残っていなかった俺は、女を見据えた。
「お前、名前は?」
「有栖川……美珠」
その名に聞き覚えがあった。
高校が同じで、千煌先輩と付き合ってた、吹奏楽部の女神、ミュージカル部の天使。
掛け持ちだったにも関わらず、吹奏楽部ではパートリーダー、ミュージカル部では部長を務めていた。
俺の……、初恋の相手。
随分綺麗になったからわからなかった。
「ミュージカル部の……天使?」