カラダ探し
ふたりで並んでしばらく歩いていると……。


「明日香、おは……ゲッ! 高広!?」


「昨日」と同じ場所で、留美子が私に声をかけてきた。


振り返ってその表情を見ると、あからさまに高広を敬遠している事がわかる。


「留美子、おはよう」


笑顔で留美子にあいさつをするけど、その留美子は、高広をジロジロとにらむように見ていた。


「な、なんだよ? 俺が明日香といちゃ悪いのかよ……」


照れたように留美子から顔をそらす高広。


「まあ……いいや。あんたは直接、私達に危害加えた事ないもんね」


そう言いながら、一緒に歩き出す留美子。


良かった……思えば、留美子と高広は意見が食い違っただけで、喧嘩をしたわけじゃない。


それに、昨夜の健司の事もある……。


女子3人だけでは、どうにもならない事だってあるのだから、高広と留美子の関係が良くなるのは私達にとっても良い事だ。


「あ、そうそう……体育館でカラダの一部、見つけたんだよ! 右の胸の部分」


「あったんだ!? 良かった……やっぱり私がいなくなって正解だったね」


私の死が、無駄にはならなかった。
< 142 / 634 >

この作品をシェア

pagetop