カラダ探し
どうすれば良いかわからなくて、不安に押しつぶされそうになる。









「まっかなふくになりたいな~」









「赤い人」の声が、徐々にこちらに近づいてくる。


どうして私は、こういうシチュエーションに遭遇してしまうんだろう。


結局、恐怖するだけして、最後には殺されるなら……私が囮になって、高広に教室を調べてもらった方が良いかもしれない。


ただ、ジッとして怖い思いをするくらいなら、この場所から「赤い人」を離そう。


放送室の中の人に見られたのは私だから……私が責任を持たなきゃならない。


トイレの隣が階段だから、そこを上がれば、少しは時間が稼げるはず。


そう思った時には、私の決意は固まっていた。


今なら、翔太のために自分を犠牲にした、留美子の気持ちがわかる気がする。


私は、「赤い人」を引きつけるために廊下に出た。


できるだけ遠くに逃げて、時間を稼げるなら、私は死んでも良い。


今日の「カラダ探し」で、高広が残りの教室を調べてくれるなら。
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