Blood Tear
時は戻り3日前の事。
スウィール国と言う栄えた国にある、大きく豪華な屋敷。
その屋敷のある一室に、栗色の長い髪をした優しい瞳の女性の姿があった。
窓から覗く景色を見詰める彼女は、コウガ達が山で手を貸した女性、シェノーラである。
彼女はコウガ達と別れた後、足早にこの国に戻っていた。
外を眺める茶の瞳はどこか悲しそうな色をし、静かに溜め息を吐いていると突然部屋の扉がノックされ誰かが部屋へと入って来た。
「お戻りになられたのですね、ローグ様」
部屋に入って来た人物を目にすると、にっこりと微笑みその人物へと駆け寄る。
ローグと呼ばれたのは、黒髪を銀に染めた髪に黒の瞳をした、30代後半の男性である。
「戻ったばかりなのだが、直ぐに出なくてはならないんだ」
彼は優しい面持ちでそう言うと、彼女をそって抱き締めた。
そしてすまないと一度謝ると部屋を後にする。
「そうだ、君にプレゼントがあるんだ」
部屋を出る手前で何か思い出した彼は彼女の元に戻ると小さな箱を差し出した。