Blood Tear
コツリと響く足音に力強く唇を噛む彼女は身を震わせる。
「馬車の車輪に付着した泥、玄関に残る枯れ葉の残骸。そして、お前から匂う他国の汚れた匂い」
彼女の目の前にたどり着くと乱暴にその綺麗な栗色の髪を掴む。
「気づかないとでも思ったのか?」
「っ……」
痛みに顔を歪める彼女を睨む黒い瞳。
先程までの優しい瞳はどこへいってしまったのか…
「言っているだろう?外には出るなと、この屋敷から出るなと」
瞳に溜まる涙を指で拭い、赤く腫れた頬を長い指が優しく撫でる。
そしてその手は顎を掴むと自分の顔へと近づけた。
「お前は私の言う通りにしておけばいいのだ。只ここに居て、何事もなく日々を過ごせばいい。何も考える事はない。それがお前の幸せなのだから」
優しく囁くが彼女は怯えた瞳で彼を見詰める。
その瞳が気にくわなかったのか、ローグは髪を掴む手をグッと握ると彼女を突き飛ばした。