Blood Tear


酔いつぶれたジークは穏やかな寝息を立てながら眠っていた。


夢でも見ているのか時折何か呟くが聞き取る事はできない。




 「貴方達も成長したのね。昔は殴り合いの喧嘩ばかりしてたのに」


 「もうそんな年でもないからな」


彼等を心配していたフィーヤはジークに毛布をかけ懐かしそうに言う。


クスリと悪戯に笑う彼女にレグルはコウガに変な事は言うなと釘をさす。




 「大切なものを突き放して護ってるつもりだろうが、当の本人は気づいてすらいない。本当、どうしようもない2人だ……」


これ以上大切なものを失いたくないと、心から信頼しているジークを破門したシェノーラ。


彼を護る為にと考えに考えた末に出した答え。


しかし、当の本人は本来の意味に気づく事なくふてくされ酒につぶれている。




困った奴等だと溜め息を吐きレグルは頭を悩ませる。




 「で、貴方はどうするの?レグル」


腹ごしらえをする彼に問うフィーヤ。

煎れたばかりの珈琲を彼に勧める。




 「どうするもこうするも、何も変わらないさ。俺はただ、籠の中に閉じ込められた鳥が自由に羽ばたく為の手助けをするだけだ」


 「頼りにしてた彼はこんな状態だけど?」


無糖の珈琲を口に運ぶレグル。


自分も珈琲を飲むフィーヤの視線の先には寝息を立てるジークの姿。




 「例え1人になろうが、成功する確率が低くなろうが、俺は諦めるつもりはない。それに俺は彼を信じてるから」


そう言い席を立つとフィーヤに一言礼を言いマントを羽織る。


外に出るのかと問うと彼は頷きコウガに歩み寄った。




 「彼の事を頼む、コウガ」


 「…え?」


先程から落ち込んでいる様子のコウガの肩を叩くレグル。


爽やかに微笑むと帽子を目深に被り戸惑うコウガを置いて宿を出た。










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