Blood Tear


背後に敵が居るのに2人を警戒する事なく背を向ける彼女。




 「…ハハハハッ…ハハハハハハハッ……」


そんな彼女の背後から突然聞こえてきた笑い声。


不信に思い振り返ると、前髪で隠す左目に鋭い痛みが走る。




 「グッ……」


 「馬鹿にするなよ、堕天使セルビア」


細身の人物は甘く見られたものだと彼女の左目にナイフを突き刺した。



痛みに顔を歪める彼女は後方へ下がり距離を取り、突き刺さるナイフを引き抜き投げ捨てる。



散った鮮血が隠れるように扉の前に立つ小柄な人物の頬を汚す中、血の溢れ出る左目に手をかざす。



治癒の力を使おうとするが、その力は使えない。


舌打ちをしながら怪我した左目を閉じ血を拭う。




 「…何故だ……何故……」


未来を視た。

男が攻撃を仕掛けてくる未来を。



そして何も手を出さない2人。

リオン目的の3人は彼が居ない事を確認すると此処から立ち去る。


そんな未来。



なのに未来は異なった。


手を出さない筈の人物が加勢し、彼女の力を奪おうとする。











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