恋するマジックアワー(仮)
宙に浮いたまま、行き場をなくしたあたしの気持ちはチリチリとくすぶってる。
はやく消さなくちゃ。
それで、なにもなかった時のあたしに戻って……
それで、あと1年。
何事もなく過ごせばいい。
大丈夫。きっとできる。
真冬の学校はすでにたくさんの人で賑わっていた。
留美子と並んで教室へ向かう。
「おはよー」
「正月で1キロも太っちゃったぁ」
「はよぉ」
ざわめきの中、いろんな話し声がする。
そこへ、聞きなれた声が飛び込んできた。
「おーす」
顔を上げると、少しだけ髪の伸びた牧野がそこにいて。
マフラーに顔を埋めたまま眠そうにあくびをかみ殺した。
変わらない。前となにひとつ。
洸さん、大丈夫だよ。
あたし、洸さんの迷惑にならない。