恋するマジックアワー(仮)

宙に浮いたまま、行き場をなくしたあたしの気持ちはチリチリとくすぶってる。


はやく消さなくちゃ。

それで、なにもなかった時のあたしに戻って……


それで、あと1年。
何事もなく過ごせばいい。


大丈夫。きっとできる。





真冬の学校はすでにたくさんの人で賑わっていた。
留美子と並んで教室へ向かう。


「おはよー」

「正月で1キロも太っちゃったぁ」

「はよぉ」


ざわめきの中、いろんな話し声がする。

そこへ、聞きなれた声が飛び込んできた。


「おーす」


顔を上げると、少しだけ髪の伸びた牧野がそこにいて。
マフラーに顔を埋めたまま眠そうにあくびをかみ殺した。


変わらない。前となにひとつ。

洸さん、大丈夫だよ。
あたし、洸さんの迷惑にならない。

< 141 / 222 >

この作品をシェア

pagetop