はやく俺を、好きになれ。
早く離れたかった。
一人になって頭を冷やしたかった。
だから真優から目を逸らす。
「やだ…置いてかないでよぉ…」
それでも真優は俺の後を着いてくる。啜り泣く声に胸が裂けそうだ。後ろを振り返れば、呆れることに真優は裸足だった。
「…お前、靴履けよ」
「やだぁ!」
やだじゃねえよ。
きっと真優の言う“嫌だ”は靴のことではなく、俺がどこかへ行くことを意味してるんだろう。
この様子じゃ自分が裸足なことにも気付いていない。