だから、恋なんて。

「で、俺のほうの話だけど」

ペットボトルを傾けて一口水を流し込んで。

ゴクっという音と共に上下する喉仏。

何を言われるかとそれをジッと見つめる。

「美咲さんは、もっと自信を持ったほうがいい」

真っ直ぐな、私の瞳の奥を見透かすほどの視線に、胸の辺りがザワザワと騒ぐ。


自信なんて……簡単に持てるもんじゃない。

世間一般からみれば、安定した仕事に就いていて、気ままな独身ライフを満喫…なんて待遇かもしれない。

それでも、オンナとしたら、いわゆる負け組。

何が勝ちで、何が負けか。そもそも勝ち負けで判断されるもんじゃない。幸せの度合いは勝ちや負けは関係ない。

そうやって何度も言い聞かせたし、四十路会でもその話題はよく議題となってた。

でもやっぱり、自分がなんと思おうと周りから見れば負け組なのは明らかで。

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