だから、恋なんて。
「特に、なかった…かな?」
「じゃ、噂なんて関係ないって思ってるってことですよね?」
そうなの?いや、それ以前にチャラ医者は本気で私を彼女にとか言ってるわけじゃないと思うし。
「美咲、いいんじゃない?その医者」
腕くみをしたままの千鶴が無責任なことを言う。
「えぇっ?ない、ない。嫌だよ、あんなチャラ医者」
「チャラ医者…」
「チャラいの…?」
あ、言ってしまった。チャラ医者なんてあだ名、一応同じ職場の医者なんだから心の中に留めておこうと思ってたけど。
「見たことないかなぁ、雫。こう、茶髪でふわっとした今風の髪形して、背も高めで、なんかヘラヘラ笑ってる…」
「あれ、それって新しい外科のドクターじゃないです?」
「だから、私さっきそう言ったけど」