だから、恋なんて。
何だかんだと理由を付けては見張り番のように残業していた榊を帰した後も、急な入院もなくてゆっくりと時間が
流れていく。
明日病棟に移る受け持ち患者さんのサマリーを書き終えて、休憩にいっている子の担当患者さんのバイタル測定も終えて。
フロアが見渡せるデスクに頬杖をついて、なんとなく心電図モニターに視線をめぐらす。
規則的な、時には不規則な、その音を聞きながら。
ふと、頭に浮かんでしまうのは、雫のコトで。
もうね、わざわざ何があった、どうだったとかってメールしたり、報告したりしないのよ、この歳になると。
どうしてなのかわからないけど、携帯にちまちま打ち込むくらいなら会って話した方が早いじゃんって思ってしまう。
だから、あれから雫がどうなったかもわからないし、もちろん聞いてもない。
でもそれは、以前の私のように、無関心を装ってのことじゃあない。