だから、恋なんて。
もう一生恋なんてできないと思ってた。
出来ないんじゃなくてしないんだって言い訳してた。
無駄に期待してひどく傷付いたり、信じていたのにこっぴどく裏切られたり。
どんなに想っても報われるとは限らなくて。
大切にするあまり嘘で塗り固めた重りを背負ってしまったり。
……だから、恋なんてしないって思ってた。
医者なんて絶対お断りだって、今だって思ってしまいそうになるけど。
姑息な手段もずる賢い戦略も、最低って思ってたけど。
それでも、こうやって丸め込まれて言い訳もできないくらい周りからがんじがらめっていうのも……悪くない。
じゃないと、四十路を理由にこの気持ちにも言い訳してしまいそうだから。
アイツが言った、
『噂があったから、アイツと出会うまで誰とも結ばれずに待っていられた』
とういう言葉に。
それで良かったんだと思えるような、これからになればいい。
確かな言葉なんてなくたって。
アイツの穏やかな瞳が私を映し続けてくれるなら、それでもいいと思えた。
了

