だから、恋なんて。
その後数週間で他病院へ異動していったそのドクターは、あろうことか自分が落としたオンナを同じ内科のドクターに自慢気に話していた。
その数はもちろん片手では足りないくらいで、あらゆる部署の看護師たちが名前を連ねていて、趣味が悪いことに落としやすさランキングまであったそう。
しかも、その中には落とされた記憶も全くない私の名前まで入っていた。
そういう噂ほどあっという間に回ってしまうもので、このことを私に教えてくれたのは看護師でもない千鶴だった。
それは、その噂がとてつもなく広まっていることを意味していて、また気分が沈んだ。
誰に文句を言えるわけでもなく、とにかく噂が消えることだけを望んでいたけれど、それは簡単には叶わなくて。
自分が異動した先や同じ出身大学のドクターにまで自慢したらしいそのドクターのおかげで、異動してきたばかりで初対面のドクターでも、飲み会や夜勤中にこっそり耳打ちしてくることがあった。