Heaven
「効かないんだよ、私にはそのようなものは」

アストラエアが言う。

彼は憎悪や妬み、怒り、恨みといった悪意の類の感情が全くない。

それ故か、一般に悪魔に効くとされるものが苦にならない。

霊装は勿論の事、聖書の朗読、聖水、祈り、祓魔術、恐らくはヘヴンの聖痕や『トリノ聖骸布』も。

天使の如く慈悲深い一方、己が“悪”と判断したものに対しては酷薄。

融通が利かない。

方向性はともかく、ある意味では善意の塊である為に質が悪い。

正義に燃える悪魔。

それがアストラエアであった。

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