君の存在が笑顔になる
出会い
私たちが初めて出会ったのは病院。

でも、この出会いを私たちは覚えていない。
お母さんたちから聞いた話。


16年前の3月下旬に楠本千太郎(くすもとせんたろう)は札幌で生まれた。

その時、私速水桜香(はやみおうか)は10ヶ月の赤ちゃん。


私は前の年の5月に生まれた。
だから、私たちは同級生になる。


そして、私たちはかけがえのない存在である幼なじみという仲になった。



「桜香、見て。桜香よりちっちゃい赤ちゃんよ。かわいいねー」


「あぶー、あー、あー」


自分よりも小さい生まれたばかりの千太郎に私は手を伸ばしたそうだ。


千太郎の頭そっと触って、「あー」とニッコリ笑った私。
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