山神様にお願い


「おーい!お前らも来いよ~!」

 龍さんの隣で店長も立ち上がって、頭を振って滴を落としながら言った。

「ガールズトークはもういいだろ~?何時間話す気だい、君たち?」

「人に準備全部させて何言ってるんですか~!!」

 ツルさんが両手を口元にひっつけてそう叫ぶと、龍さんは後ろをむいてお尻をフリフリしている。

 あははは、とツルさん手を叩いて笑った。男達は結局上の服をきたままでびしょ濡れで、今は波と戦うのに疲れて波打ち際で転がって揺られていた。

 ウマ君は波にされるがままになってるけど、あれ、大丈夫よね?死んでないよね?

「・・・砂だらけですね」

「ホントね。うーん、お気楽な人たちだわ、ホント!」

 ツルさんが緑のパーカーを脱いで、素晴らしい体を晒して太陽の下で伸びをした。私を振り返ってニッコリと頷く。

 いいのよ、シカちゃん。とりあえず、大事なことは、今を楽しむことよって。

 そして、おいでよ!と大声で言いながら、彼女も海へと駆けて行ってしまう。

 私は一人で日陰に座り込んで、皆が光と水とにまみれながら笑い転げるのを見ていた。

 それはとても開放的で、綺麗なシーンだった。



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