山神様にお願い


 「山神」で集合だった。

 店長の運転するミニバンに乗って、1時間ほどでいける海を目指した。店の前にくるまで、何だかなーの心境で気が晴れなかった私も、車に乗り、テンションの高い皆に囲まれている内に、楽しくなってきた。

 海・・・・海かあ!久しぶりだなあ~!!

 私以外のメンバーは全員水着の上にパーカーを羽織った、だけの格好で、普通の服で来た私をやいやいと責める。

「シカはバカだ」

 龍さんがまずそう言って、遠慮なしに私の全身をじろじろと眺める。隣で車のキーをくるくると回しながら、夕波店長があはははと笑った。

「失礼なのは判ってましたけど、本当に失礼ですよ、龍さん」

 私が憮然とすると、ウマ君が車に荷物をつみながら言った。

「シカさん、海行くのに水着きてこなくてどうするんっすか!あっちで着替えるまでに汗だくですよ~」

 ツルんさんも頷く。

「そうそう。更衣室借りるのお金かかるしね」

 私のことはほっといて下さい!そう言いながらさっさと車に乗り込むと、店長が言ったのだ。

「車で着替えてもいいぞー。何なら皆で手拍子してシカのストリップショーを盛り上げてやるよ~」

「結構です!!」

 そんな出発だった。


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