世界征服狂走論




 心地よいくらいの直射日光を浴びながら、少しだけ目を細める。
 チカとここでお昼を過ごすようになったのはいつからだっけ。つき合い長いからな。3年間同じクラス。よく飽きないもんだ。



「…世界征服、」

「勉強ばっかで疲れてんのは分かる。おちつけ。」


 ヂュウウと牛乳をすいながらそんなことを。
 っていうかそんなにでかいのに、まだ牛乳飲むの。目標身長は3メートルあたりなのかな、チカちゃん。


「あたしが勉強で疲れるわけないじゃんか。本気だよ本気!」

「よし分かった一回深呼吸しよう」


 ……失礼ね、チカちゃんてば。


「そんなんだから友達いないんだよ」

「るせぇなコラいるわ」


 あたしの言葉を即否定して力が入ったのか、チカの手の中のパックがつぶれる。ふきだした牛乳がチカの手と制服のブレザーを汚した。あは、あははは。



「あのねチカ、」

「お前さ、目の前で友達が困ってんだからティッシュくらいよこせよ」

「ください、でしょ」



 話の横入りをしたのに相変わらず態度がでかいチカに、ヤレヤレと言いながらティッシュをわたす。さて、あたしは、かわいそうなチカに真実を教えてあげることにしよう。





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