我が家の家庭事情

「優しいのは結構やけど、やり方が不器用すぎるで」

「……俺 器用な方だけど 」

「手先器用なだけよ。他全部不器用」

「ひでぇな」

何だか俺という存在を全否定された気がする。

地味に落ち込む俺に気付かず、千尋は机からスマホを取りだし弄りだした。

「でもさー」

「?」

「舞華は竜君のそんな考えくらいちゃんと分かっとるんちゃうの」

「え?」


千尋はスマホをスカートのポケットに仕舞いながら、手に持っていたパンを口に詰め込み飲み込んだ。


「おい?」

「んじゃ行きますかぁ」

「はぁ?」
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