失望巡りて世界は廻る

どこかも分からない霧の世界にて、二人は対峙していた。



「もうこんな世界イラナイ……。ねえ、どうして人間は必死に生きようとするのさ?

くだらない。必死になるだけ無駄なのに。哀れだよ、愚かだよ、酷く滑稽だよ」


「……確かに、阿呆にも程がある。けれどね、4番目。だからこそ、面白いんじゃあないですか。

そんな人間が、私は好きですよ」


「君も相変わらずだね、7番目。いっそのこと、君にも失望してみようか」


「ふふっ、出来ないくせによく言います。まあ例えあなたが私に失望しようと、私はあなたを見捨てませんよ。

愛に飢えた蝙蝠(こうもり)すら、私には愛おしいのですから」


「………変な奴」



そっぽを向く4番目の耳は少し赤い。

それを見て7番目もクスクス笑うのだから、尚更4番目は拗ねてしまった。

< 2 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop