失望巡りて世界は廻る

ひょっとこのお面を被り手拭いもちゃっかり巻いていて。

顔を隠すものだから、表情も読み取れない。


長い黒髪を後ろに白紐で1つに結い、陰陽師のような白装束を。

いや、上だけは何故だか紅色に染められた装束だから、紅装束か。


まともと思えないその格好を自然としているのは、世界がそれを受け入れているからなのか。


解(げ)せない。



「ひどい話だよね。君はそうやって僕の今までを失くしてしまうんだから。

まるで霧がかかったみたいに、僕は記憶が曖昧で。いっそのこと全てを忘れさせてくれればいいのに。

なのに君は、枠だけ残して形はそのまま消してしまう。忘れたくとも忘れさせてくれない」



淡々と紡ぐ4番目の言葉に、ひょっとこ子供、もとい迷蓮が顔をうつ向かせる。


もっとも、ひょっとこ面のせいで顔は見えないのだが。

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