俺ら参上ッッ!!


「ひかり、一緒に帰ろーぜ!」

「途中まででもな」


玄関で二人にそう言われた。

すごく嬉しいんだけど…


「今日は美沙と一緒に帰るからっ」

「マジか」

「……」


二人の表情が曇った。


「ひかり、なんかあったら真っ先にオレに連絡しろよ!」


恋一はそう言ってくれた。

恋一…


「いや、俺にだひかり」

「はぁ!?オレだし!」

「いや俺だ」

「いやオレ!」

「俺」

「オレ!」


あぁ…

二人は子供みたいにケンカしてる。


「ふふっ」

「何笑ってんだよっ!」

「笑うな!」


つい微笑ましくなってしまった。

ほんとに仲いんだなぁ
うらやましい。
私にもこんな友達ほしいな…

そう心の中で思っていた。


「…まぁ、とりあえず
気をつけて帰れよ?」

「じゃーな!」

「うん!」


二人に手を振って、私は美沙を待つことにした。













-30分後-


「美沙…来ないな…」


30分経っても一向に美沙が来る気配がない。

帰ろうかな…
いや、ダメだよ!約束したんだし!

そう思っていた時、


「はぁはぁ…ひかりごめん!!」

「美沙!!」


美沙は息を切らしていた。

走って来てくれたんだ…


「ごめん待たせて…」

「ううんいいの!
それよりも行こう?」

「うん…!」


こうして美沙と一緒に帰ることになった。




-帰り道-


「ねぇひかり」

「ん?」


美沙がいきなり口を開いた。


「……ごめんなさい!」

「へ!?」


何を言うかと思ったら、いきなり私の前で頭を深々と下げて謝った。

え!?え!?
どういうこと!!?


「あああ頭上げて!!」

「上げられないよ…今まで散々ひどいことしてきておいて」


美沙…


「……」

「許してなんて言わない…だけど、ワタシにチャンス頂戴…」

「チャンス…?」

「うん…」


美沙は顔を上げて弱く笑った。


「信じてくれないかもだけど…
ワタシ、一年の時からひかりと友達になりたかったんだ」

「え!?」

「だけどイジメようって他の子に誘われて…弱かったワタシは断れなくて…」


そんなことあったんだ…


「気づいたらイジメてる中のトップに立ってた」

「……うん」

「でも最近変わってきたひかりを見て…ワタシも変わりたいって思った
だからさっき遅れたのは、イジメてるやつらと縁切るために話してたんだ」


美沙…


「ごめん…言い訳だよね…」

「…そんなことない!」


美沙は驚いた顔をした。


「私も美沙と友達になりたい!
仲良くなりたい!!
でも…やっぱりイジメは傷ついた」


正直に思ってることを私はぶちまけた。


「うん…ごめん…ごめんね…」

「だけどね」


私は美沙の手をとって、目を真っ直ぐ見た。


「それ以上に私は美沙と一緒にいたい気持ちの方が勝ってる!」

「ひかり…」


美沙は涙を流した。


「ありがとう…ひかり
ワタシ学年対抗リレー頑張る!
1位になったら友達になってくれる…??」

「1位じゃなくても友達になるよ!」


私達は笑い合った。

美沙…すごく素敵な人だなぁ、やっぱり。

私も実は1年の時に美沙と友達になりたかった。
あとは憧れだった。
美沙は綺麗な黒髪で顔立ちも整ってて、誰にでも優しい…素敵な人だったから。
そんな美沙と今こうして話しているのは奇跡に近い、そう思っていた。

運動会頑張ろう…!!








< 25 / 98 >

この作品をシェア

pagetop