二重人格神様~金と碧の王~
第4章

不安




一瞬、気のせいかと思った。けれど、その顔は紛れもなく私の父親だ。


いや、だけど、そんなはずはない。似ているけれど、金色の髪ではないし、このような場所にいるなんておかしい。



それに…格好だって、雰囲気だって、なにかが違う。なのに、なんでお父さんと影が重なるの?


突如として現れたその男を見つめていると、壁から手を離しグレンさんが男を睨む。


「お前は…」


「久しぶりじゃないか?海鈴…いや、今はグレンか」


「…だから、なんだ」


「いや、そこの子は海鈴の花嫁だと聞いている。あいつが心に思うものを嫌うグレンが…そのような態度をするのは、珍しいと思って」


気に食わなかったのだろう。あからさまに舌を打ち、そのまま私の手を握る。



「それはどうも。で、なにかようか?海鈴なら中で眠っている。当分は出てこない」


なんて喧嘩越しの態度だ。敵意むき出しのオーラに戸惑ってしまう。


この人、いや、この神様?はだれなの?

.
< 294 / 513 >

この作品をシェア

pagetop