[完]バスケ王子に恋をして。
「あのな……お前こんなに食べれる訳ないだろ……」

呆れている海斗の視線は私の買い物カゴ。

「え?まぁ今日食べない物のほうが多いかな……」
「それを何で今買うんだよ」
「だって海斗がおごってくれるなんて珍しいじゃん♪だからたくさん買ってもらうんだ♪」

さっき海斗の口からは珍しい一言が出てきたので……お言葉に甘えて!!

「だからって何でカゴ一杯に物入れてんだよ」
「まぁ……これが一週間分の食料でして……」
「腐るしまずその前に俺の金が破綻する」
「ま、いいじゃんいいじゃん♪」
「よくねぇ!!半分戻して来い!!」
「えー……」

しばしばいろいろ戻してきて……私のカゴの中は今日の朝ご飯だけ……。

「もっと買ってくれると思ったのに……」
「バカ言うな、俺は高校生だぞ?そんなの親に買って貰え」
「えーヤダよー……うち破綻しちゃう」
「お前……俺んちが破綻してもいいのかよ……」
「だっておじさんうちより給料高いじゃん?」
「そういう問題じゃないし……お前は竜基くんがいるだろう……」

竜基くん……あ、そうだった!!

「今日お兄ちゃん帰ってくるんだって」
「は!?マジで!?」
「うん、ママが言ってた」
「マジかよー!!久しぶりだなー竜基くんに会うの」

目を光らせている海斗。

そんな海斗を構わず私はコンビニを後にした。

携帯を見てみるとまだ8:43……。

まだ時間あるし……

「おい!!置いてくなよ」
「あーごめんごめん」
「つか本題に入りたいんだけど」
「本題?」
「ま、いいや……とにかくここの公園入ろうぜ?」
「え?あ、うん……」

私は海斗に手を引かれて公園に入って近くのベンチに座った。

「懐かしいねー……」

ここはよく海斗と一緒に遊びに来てバスケをしていた公園。

ま、私は見てただけなんだけどね……。

「本当だな……俺より大きかったゴールも俺より小さいんだな」
「そうだね、本当に私達大きくなったよね」
「まぁ、奈未はそんなに変わってないけどな?まだあのゴールより小さいし」
「うるさい、あのゴールきっと背が伸びたんだよ!!」

私はバシッと海斗を叩いてよく意味のわからない言い訳を言い始めた。

「言い訳になってないぞ」
「うるさい!!」

海斗の顔は意地悪そうにクスッと笑っている。
< 270 / 447 >

この作品をシェア

pagetop