[完]バスケ王子に恋をして。
「じゃ……羽切待ってるから行くか」
「うん……海斗に謝んないと……」
「……」
「……春樹?」

心配そうに俺の顔を覗き込む奈未。

それ超かわいいんだけどよ……

「ムカつく……」
「え……?」

奈未の顔がだんだん歪んでいく。

「海斗海斗って羽切ばっかりじゃん……」
「……ゴメン……」

シュンと小さくなる奈未。

「っていうのは嘘」
「へ?」
「俺がヤキモチする訳ないじゃん?」
「でも今……」
「ん?奈未はいじめがいがあるなーと思って」
「……!!最低!!もう知ーらない!!」
「はぁー?嘘だってー」
「知ーらない」

そういって車から降りた奈未。

俺も追いかけるように急いで車から降りた。

さっきの言葉は本当……嘘じゃない。

奈未が海斗って呼ぶだけで腹が立つけどあいつには世話になってるし違う意味で奈未を支えて欲しい。

だから今はあえて言わない……。

いつか奈未が羽切より俺に支えられるようになったら実はな……って教えてやろーっと……。

「お、やっと降りてきた」
「あはは、ごめんごめん」
「ありがとな、赤織」
「いや、それこっちのセリフ」
「ったく……お前は人に迷惑掛け過ぎなんだよ!!」


奈未のおでこをデコピンする羽切。

「痛ーい!!」
「お前はこれで十分だ」
「酷っ!!春樹そんなことしないもん!!最低!!」
「お前そんなことばっかりしてたら春樹って奴に嫌われるぞ?」

そういったのは羽切じゃない……。

声のしたほうを見てみると……全身黒のジャージでサングラスを掛けている長身な人がいた。

耳にはイヤホンとたくさんのピアス……なのに靴は婦人用のスニーカー……。

見るからにいかつい……。

つか、不良か……?

なら何で俺の名前知ってんだよ……。

まさか……!!

どっかで調べてきた……とか……?

「えー?それはヤダー」

おいおい……何軽々しく話してんだよ……!!

まさか……奈未の知り合い……?

「で、その噂の赤織春樹って人はどこにいるの?」

怪しい人は周りをキョロキョロして俺を探している。

……つか、この声どっかで聞いたことある……。

「俺ですけど?」

そう答えると怪しい人は口元を緩めて俺のほうを見た。

「……キミ?春樹くんって」
「はい」

その人は俺の足に視線を落とした。

「足怪我してんの?」
「あ、昨日ねんざしちゃって……」
「へー……でも俺は手抜かないよ?」

……は?

なんのこと……?

もしかして……喧嘩!?

「ねーそれ本気でやるの?」

奈未が心配そうに怪しい人を見る。

「あたりめーだろ……つか、俺のこと知ってる?」

俺に顔を近づけてくる怪しい人。

「顔見ないとわかんないっす……」
「そっか……じゃ……」

その人はゆっくりとサングラスを外した。

「……!!」

俺はその顔を見て絶句した。








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