[完]バスケ王子に恋をして。
「もしもし?」
<あ、春樹?今何してた?>

電話越しに聞こえる愛おしい声。

「今バスケの練習するから準備してた」
<え!?嘘!!ごめん忙しい時に……また後で掛け直すね?>
「別に大丈夫だし……奈未だって今くらいしか休憩ないんだろ?」
<うん……まぁ……>
「俺の心配なんてしなくていいから」

奈未は昔からお人好し過ぎて困るくらい……。

その分ストレスも溜まらないか心配なんだけど……

<うん……じゃあお言葉に甘えて♪>
「何か用あった?この時間に電話くるなんて珍しいから」
<いや……あのね?……私……明日オフ取れたんだけど……春樹なんか用事あるかなーと思って……>

マジ!?

デートのお誘いですか!?

俺期待しちゃっていいですか!?

「明日ならバスケ終わった後何も用事ないけど」
<本当!?じゃあ明日春樹んち行ってもいい?>

え!?マジ!?

まさかのお家デートですか!?

「あぁ、いいけど……どうした?いきなり家なんて」
<あ、実は明日咲羅も仕事オフなんだって!!だから私が咲羅と海斗に質問しようと思って!!それで、私の家だったら芸能人いっぱい住んでるからバレちゃうでしょ?だから春樹の家がいいと思って!!>

あぁ……そういう意味ね……。

ちょっと期待した俺がバカだった……。

「全然いいけど……じゃ海斗も明日家に誘ってみるな」
<本当!?ありがとー!!それでね<NANAさんスタンバイお願いします>あ、わかりました>

遠くから奈未を呼ぶ声が電話越しに聞こえる。

<ごめん……私行かないと……>
「あぁ、大丈夫。頑張れよ?」
<うん……ありがと!!じゃあまた明日掛けるね!!>
「あぁ」

そういって俺は電話を切った。


「はぁ……」

俺は深いため息をついて携帯を見つめた。

奈未がNANAなことはなんとなくわかっていたんだ……。

俺達が出会った時と同じ歌声だったから。

だからどこか安心感を持っていたんだ……

でも姿を見せるってなったら別……。

あんなに可愛い奈未が姿を出したら人気が出るに決まっている。

それに奈未は見せ物じゃない……。

だから俺は姿を見せることに反対だった。

咲羅にNANAのライブチケットをもらった時俺は行くか迷った。

でも一目でも奈未のことが見たかったから俺はNANAのライブを見に行くことにした。



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