…真夜中の美しき奏…
…アンナ…
真夜中とは神秘的。

空は暗く、雲は見えない。

月明かりの下で始まる音楽会。

今日のゲストは誰でしょう?

隣町からやってきた
「アンナ」がゲストのご様子です。

静かなる月明かりの下、
アンナは目を瞑り、歌い始めた。

アンナの歌声は
遠く遠くへ響いて行く。

あの空の雲の彼方迄、
歌い届けるのである。

美しき歌声は
人々の心へ突き刺さる。

純真無垢なアンナの歌声に
笑顔が広がる。

そして、
中には綺麗な涙を流す者もいた。

人々は皆、
アンナの歌声に惹かれて行った。

音楽会が終わり、
アンナは消えて無くなった。

そう、アンナは今日、
今だけしか生きれないのであった。

アンナは幻であった。

アンナは持病を抱え、
9歳でこの世を
去っていたのであった。

それは、
不思議な不思議な
真夜中の奏であった…

人々は皆、今日、この時を
心の思い出として、
心のアルバムへと綴った。

もう、
二度と聞くことのできない音楽会。

美しき音楽会。

来週のゲストはどなたかしら?


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