桜流れ渡月橋(A探偵団4)

前触れ

○原田のアパート、内
   ドアが開いて6人が入ってくる。
   おとといのままである。
   ピザの食べガラとコーラの瓶がある。

太一「あった」
亜紀「やっぱり間違いないね」
   太一がコーラの瓶を、亜紀が変面の
   顔が描かれたふたを持ってくる。

山本「変面特製の眠り薬入りコーラだ」
原田「ということは、間違いなくやつらは
 渡月橋を盗みに来る」

山本「兄貴が昨日たくさんの短冊が
 見つかったと言っていた」

高田「短冊が嵐山の川に」
木村「たくさん流れ着いた」

高田「文面は皆同じ」
木村「春惜しむ 桜吹雪に 花いかだ」

高田「歩いて渡れ 舟の渡月橋」
山本「わかった。決行は明日だ」
原田「何で?」

山本「明日の晩から朝にかけて春の嵐が来る。
 これだけしつこく春惜しむ桜吹雪に花いかだ
 という事はこの春の嵐のことや」

木村「わかったわ。じゃあ、歩いて渡れ舟の渡月橋というのは?」
山本「わからん。明日の晩それを確かめに行こう」
原田「あめの用意してナ」

高田「そうしょそうしょ。吹き飛ばされんように」
木村「この一晩で桜の花は全部散る。昔の人は
 この春の嵐をとても憎んだのね」

高田「ロマンチックやわア」
山本「くれぐれも吹き飛ばされんように」
   皆、顔を見合わせる。

高田「橋を盗むんやろか?」
原田「金にはならんやろ」
山本「盗みは芸術なり、か。さっぱりわからん」
   皆、うなづく。

○変面の里
   山奥の盆地。
   大型トレーラーが2台見える。
   たくさんの川舟を積み上げている。

   先頭に馬上の変面。トレーラー。クレーン車。
   忍者達。見送るその家族。
   変面がステッキを突き上げて隊列が出発する。

○同、遠景

○夜空
   変面の顔をしたこうもりが飛んでいく。
   犬の遠吠え。満月。

   満月に雲がかかりすっかり見えなくなる。
   風が強まり震える木の枝。
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