御曹司の秘書さんのため息◆

少し歩くと、
移動販売車が見えてきて、
昴は足早に駆け寄って
そのワゴンの人物といくつか声を交わす。


・・・?
どうやら
知り合いーーー。



あははと笑いあいながらやり取りしている姿は、


とても、『大企業の専務様』
ってがらじゃないな。

なんてい思いながら武は
足早に上司に向かって駆け寄り
そのワゴンの人物に
ぺこりと頭を下げた。


「おぉ。
 君が、昴の、武君かぁ。」

「そうそう、俺の武。」


なんだその紹介。
まるで所有物みたいじゃないか。


「・・・昴様の、秘書の市川です。」

「そっか。じゃぁ、メープルでいいか?」



「・・・はい??」



「オッケー。じゃ、メープルと、プレーンな?」

あはは。と豪快に笑ったワゴンの店主さんは
すっと奥のほうに引っ込む。


なんだ。こいつは。
この若干 会話を無理やり進めていく感じ。

まるで・・・



武は眉間にしわを寄せて、
にやっと笑う上司を睨んだ。


「・・・・昴様の、ご友人ーーですか?」


話を聞かずに 進めるあたり、そっくりだ。

「そうそう。
 この間知り合ったんだ。面白いやつだろ?」

いいえ。
貴方にそっくりです。

という代わりに武はもう一度 スバルをにらんだ。






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