御曹司の秘書さんのため息◆

そのヤキモチも
少し上目づかいになるそのくりっとした目も、
少しふんわりとカールされている
柔らかそうな髪も、
きっと、

可愛らしいんだろうな。

でもな・・・・でもな!!


「うるせぇ。 誰が大事かって?


 どの視点でだ?
 
 仕事としての視点なのか、それとも女としての視点なのか?」

武が、ずいっとレイナに踏み入る。

レイナは
急に態度が変わった武に戸惑うように
見つめた。

 
「大体、俺は昴様の秘書だ。

 秘書は、上司が余計な雑務に惑わされず
 さっさと仕事を終わらすサポートをする仕事だろ?

 誰が大事かってーー?」


しいて言えば、俺は、一番『俺』が大事だ。

しかし、
煩いレイナを黙らせるため、
一番、傷つく、一番言われてたくないであろう言葉を
瞬時に探しだし、

口から出そうとした、刹那。


「そこまでだ。市川。
 冷静になれ。」

武の右手をグイッと後ろに引き寄せ、
耳元で冷静な声を浴びせた。


昴だった。

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