ama-oto
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 うつらうつらしながら、いったい何時に寝たのだろう。そもそも、きちんと寝たのか寝てないのかよく分からない。ただ、シャワーを浴びた記憶があり、着替えもしているから、寝ようと意識していたことは確かだ。

壁時計の指す時刻はお昼を過ぎていた。もそもそと布団から脱出し、テーブルを見た。昨日回らない頭で買った食料品が、ビニール袋に入ったままテーブルのそばに置かれていた。昨日目次だけかろうじて目を通した本が、ページを開けたままテーブルの上に置かれていた。シャワーを浴びた後にあおった発泡酒が効いたのか、何となく頭が重たい。

 ゆるゆると立ち上がり、台所でコップに水をくんだ。蛇口から勢いよく出た水の音が、現実を伝える。今日は土曜日で、数時間後にバイトを終えた清人がこの部屋に来る。コップの水を一気に飲んで、溜息をついた。
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