ama-oto
 「大事な用ならまたかけてくるんじゃない。」
 「そうだね。」
 「っていうか、この状況言える?」

 ドキッとした。

 「い、言えるよ。別に気のない相手と回転寿司で食事していることぐらい。」
 「ふーん。」

 イクラをほおばりながら、福間くんがニヤリと笑った。

 「な、なに?」
 「面白いなーと思ってさ。」
 「よかったねー、楽しめて。」

 イヤミを込めて言葉を返した。

 「普段は男女も上下も関係なく、議論を戦わせたりしているくせに、時折しっかり女の子だよね、豊崎さんって。だからもったいないよな。」
 「なにそれ。」
 「ほめてるのに。」

 女子はほめれば何でもうれしいもの、ではない。でも、まあ、いやな気分ではないけれども。もったいないって言われるほどでもないけれども。

 「自己評価低いよね。」
 「うるさいなー。」

 一貫残して話すのに夢中だった隙をついて、イクラを奪って食べた。

 「すきあり。」

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