ama-oto
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 図書館を出るまでに、雨は止んでいた。図書館にいる間、私の携帯は一度も動かなかった。着信も、メールもなく、マナーモードにしてもしなくても、他人に迷惑はかからない状態だった。

 たぶん、行ったとしても、情けない濡れネズミ状態だっただろう。悲しいけれども、選択しなかった現実の答えだ。

 「助かったー。OPAC検索してからうろうろしたりしてたんだけど、あんなとこにも参考資料があるなんて思わなかった。雨降ってよかったー。」
 「お役に立てたなら、こっちもよかった。それじゃ、また来週。」

 サクッと帰って、資料の続きでも読んで、来ない連絡でも待とうと思っていた。

 「待った!」

 言葉と同時に、腕をつかまれた。なにごとかと思って振り返ると、またニヤリとした顔をしていた。
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