*嘘月とオオカミ先輩*
-過去-5月 トラウマ
「ねぇーサクちゃん聞いてる?」
不意に呼びかけられて、下げていた視線を上げる。
「え? あ、ごめん、何」
「だからぁ、バイト先の店長が――」
正面に座った彼女のマシンガントークは、徐々にただのノイズに変わっていく。
地元の短大に通う、1つ年下の彼女。
実に1ヶ月ぶりのデートだ。
豪雨のように降り注ぐ言葉を機械的に聞きながら、久しぶりに会った彼女をじっと観察した。
メニュー
-過去-5月 トラウマ