*嘘月とオオカミ先輩*


「サクヤ……なんで、笑ってるの」

「……なんでもないよ」


きょとんとオレを見上げる顔に唇を落としながら、気づかれないようにふっと笑う。


おかしな話だ。

モデル並の容姿を持つ元カノは、これでもかってくらい周りに見せ付けて歩いていたのに。

むしろ見せびらかして満足していたのに。


……月島のことは、誰にも見せたくない。

彼女の可愛らしさを、他のヤツに知られたくない。

オレ1人の中に閉じ込めておきたい。





なんて浅ましい独占欲。





けれど、間違いなく、


これは愛しさからくる感情だ。



< 233 / 382 >

この作品をシェア

pagetop