*嘘月とオオカミ先輩*



先輩の湿った黒髪に指を差し込み、熱を持った耳に触れる。



「あたし……絶対浮気したりしない」

「え!?」



額に汗を浮かべた顔が、驚いたようにあたしを見上げる。



その視線を真っ直ぐ受け止めて――




「絶対にしない」








だから捨てないで。





――心で叫ぶ。




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