*ミーくんの好きなひと*
あの日、東京タワーにのぼった最後の日。
ただ泣くだけで、きちんと別れ話ができなかった。
中途半端な気持ちは、どこにも行き場所がなく、私は前にも後ろにも進めないまま。
頑張ったって、どうせミーくんは私の方を向いてくれない。
だからといって、このまま自然消滅みたいに終わらせるのは嫌だった。
何もしなかったら、私は永久に足止めを食ってしまう。
「萌……」
心を震わす声に呼ばれる。
振り向くと、学校帰りのミーくんが立っていた。