【完】俺が消えてしまう前に


「水島さんおはよ」


七海にそう声をかけてきたのは
七海をいじめていた奴の一人だった。



「水島おはよーっす」


周りにいた男子もあいさつをする。

見て見ぬふりをした奴らだ。



「ほら、なっちゃん」


「・・・」


桃子が七海を促す。


「・・・皆、おはよう」












俺が心配する事は起こらなかった。

むしろ、七海には大事な友達が何人もできていた。




七海をいじめていた女たちは
今までの行為を必死で謝り、
『決して許してとは言わない。だけど、水島さんと友達になりたい。我儘なお願いだけど聞いてほしい。無理なら無理でそれでもいい。ただのクラスメイトとして一緒にいたい』

そう言ってきた。

七海は笑顔で答える。



今までの事はなかった事にはできない。
だけど、未来があればそれは塗りつぶせる。


七海にはそれが分かっているから。


すごく心の優しい子だから。


俺とは違って。



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