【完】俺が消えてしまう前に


「実行委員、楽しみにしてるよ」


「えっ!あ、いや・・・その」


「さっき先生とすれ違いざまに少し話し合ったけど、まぁいきなり実行委員長は辛いだろうし僕がやる事になった。でも副委員長としてやってもらうから補佐よろしくね」


「私足手まといになるかもしれないんだけど・・・?」


「安心して。・・・じゃあもうそろそろ塾だから。また」



手をひらひらと振って前田雄大は去っていった。


「・・・前田君か」


そう七海が呟いた声を俺が聞き逃すはずもない。


「なんだよ、惚れたのか」


「な、何言ってんの樹君」


「動揺してる」


「してないし!」


「・・・いいよ別に」


「惚れるわけないでしょ?だって・・・」


「だって?」


「・・・なんでもない」


「気になるだろ」


「気にならないで」






俺の心は熱くなっていた。


焼けるように。
何かを伝えるシグナルのように。
< 117 / 166 >

この作品をシェア

pagetop