【完】俺が消えてしまう前に

「・・・桜塚さん。私と樹君もそういう話してたの。愛希ちゃんの家の近所の人たちに話とかをまず聞いてみた方がいいかもって」


「そうね、水島さん。それが一番だと思うわ。さぁ行きましょう」


桃子は立ち上がった。
そして扉に向かって歩き始める。

いきなりの出来事に俺らは慌てた。


「どうしたの?行くんでしょう?」


「い、行くけどさ。桃子も手伝ってくれるのか?」


「手伝うわ」


「なんでまた・・・」


「細かい事はどうでもいいでしょ!?とにかく行くわよ!」


「ちょっ・・・待てって」


「今度は何?」


「七海の事も・・・まだ・・・」


「水島さんの事?・・・それは安心なさい。私がなんとかしておくわ」


「なんとかって・・・!もしできるとしてもだ。どうして今まで助けてやらなかったんだよ!」



七海のいじめ。
それはまだ解決してない。

・・・具体的な答えを聞くまで俺は絶対にここを動く気はなかった。



だけど、答えはすぐに出た。




「樹君」


七海に呼ばれ、そっちの方向を向く。

まだ引き裂かれた制服を着ている七海。
目のやり場に困りながら「なんだよ」と答えた。



「桜塚さんはね、本当はずっと助けようとしてくれてたの」


「・・・え!?」


「しかも小学生の時からずっと」


俺は桃子の方を向く。

桃子はふんっと顔をそむけた。
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