てのひらを、ぎゅっと。
「あ、そういえばさ。今週の日曜日、ここで練習試合あんだよね。よかったら見にきてくれない?」
「え?」
こうちゃんからの急なお誘い。
そういえば………今週、サッカー部の練習試合が私たちの中学校であるって聞いたような、聞いてないような。
誘ってくれたのは嬉しいけど……でも……
「あ、もちろん神楽もつれてこいよな。
友達として、ふたりを招待するから」
「…………うん、分かった!行くよ、梨帆とふたりで」
私の返事を聞いて、こうちゃんは
「っしゃ!」
と嬉しそうに笑った。
そんな顔をして笑わないでほしい。
まだ期待してしまうバカな私が、どこかにいるから。
絶対ありえないのに。
こうちゃんには、彼女さんがいるのに。
それなのに、そんなに嬉しそうに喜ばれると嫌でも錯覚してしまう。
正直、“友達として”という言葉に泣きそうになったけど、ぐっとこらえて私も嬉しそうな笑顔をよそおった。
もし私がまだこうちゃんの彼女だったら、“彼女として”招待されてたのかな。
いや、もういいの。
私はこうちゃんの友達なんだから、友達としてしっかりこうちゃんを応援しよう。