てのひらを、ぎゅっと。
試合が始まって20分。
まだ得点は0対0のまま変わらず。
コートの中央で、相手チームと激しいボールの奪い合いが行われている。
私の目線の先は………ずっとこうちゃん。
誰よりも大きな声を出し、誰よりも一生懸命に走っている。
「あの………」
急に右側から声がした。
顔を右側に向けると、こうちゃんの彼女さんがにこっと笑ってこっちを見ていた。
私に向けられたそのまっすぐな瞳は、どこか寂しそうで。
梨帆は試合に夢中で、私がこうちゃんの彼女さんに呼ばれたのには気づいていないみたいだ。