てのひらを、ぎゅっと。
「なんでっ、病気は私を選んだのかな。
私が、病気にならなくちゃいけなかったのかな……っ。神様は……不公平だよ…」
“死にたい”と思ってる者に命を与えて、
“生きたい”と思ってる者に死を告げる。
なんて残酷なんだろうね。
”しょうがない“
なんて、そんな簡単な言葉じゃ片づけられないよ。
「生きたい、よぉ………」
“生きたい”
これが、私の本心だった。
強がりの裏にずっと隠れていた本当の想いはどんどんと膨れ上がり、今、私の心の叫びと哀しみの涙へと変わった。
病気も風船みたいに膨らんで割れて、跡形もなく消えちゃえばいいのにね。
そしたら私は、こうちゃんの胸に笑顔で飛び込めるのに。
でも結局、消えないんだ。
なにをどうしても、どんなに頑張ってもダメなものはダメなんだよ。
割れた風船でも完全に消えきることはできなくて、散々なった破片が必ず残る。
憎い病気は、悲痛な想いは………
永遠に消えることはない。
この日、私と梨帆はずっとずっと肩を寄せ合い泣いていた。
窓から覗く今日の空は、雨のせいで暗く暗く曇っていて。
まるで、私たちに寄り添って泣いてくれてるかのように………
“生きたい”と叫んでいる私の心を表すかのように、どしゃ降りの雨が止むことはなかった。