てのひらを、ぎゅっと。



こうやって私に話しかけてくれてる子のうち何人かは、きっと同情でだと思うんだ。


“心優ちゃん病気だからな……”とか、


“かわいそうだから”とか。


でも、それでもすごく嬉しいの。


なんでかな。


ただ、嬉しくて嬉しくて。


“おかえり”


こんな私を、嫌な顔ひとつせず笑顔で迎えてくれて。


私、知らなかったよ。


自分の居場所があることが、こんなにも嬉しくて幸せなことだなんて。


みんなの顔が、こんなにも愛しく思えるなんて。


全然知らなかった。


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